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Donに聞け!!元気な経営者さんインタビュー

週刊求人の人気連載「ドンに聞け!」のWeb版です。 各エリアの元気な社長さん、経営者さんをご紹介します。 普段聞けない経緯や裏話も必見です。
※「Donに聞け!!」のコーナーは連載を終了しました。


帯広はげ天 矢野整氏
ヌーベル 暖簾を守る

 創業以来七十二年の歴史を誇る『はげ天』は、帯広では知らない人が居ない程の名店である。豚丼に至っては全国ネットのテレビ番組で何度も紹介された事により、今では帯広の重要な観光スポットにもなっている。
 早速、代表取締役の矢野氏に話しを聞いた。
 「料理には全く興味はありませんでした。大学を卒業したら普通に就職活動をしようと考えた時期もありましたが、卒業時期が近くなるに連れて、何故か後を継がなければならないと言った使命感の様なものを強く感じる様になりました。きっと自分でも気付かない所で意識していたのでしょうね。老舗の跡継ぎと言うのは、皆そんなものかも知れません」と笑う。
 「大学卒業後は、知人の紹介で、料理の鉄人でお馴染みの道場六三郎さんのお店『ろくさん亭』で見習いとして働く事となりました。当時はまだ道場さんも有名人ではなく、私も始めて見る人でしたが、実際のところ業界では大変な方でした。まずお品書きに値段が入っていませんでしたし、建物自体に店の看板もありませんからそこに料理屋がある事すら分かりません。それでもお客さんは来るんですよ。それも各界の著名人ばかりです。美味い物ならいくらお金を出しても惜しくないと言った人達ばかりです。そう言った人達ばかり来るお店でしたから、世間一般的には知名度は低かったですね。現に友達に『ろくさん亭』で働いてると言ったら、ラーメン屋か?でしたからね。今では当時一緒に働いた連中が各支店の料理長ですからね。一緒に頑張った仲間としては感慨無量なところがあります」
 ろくさん亭では四年間働き、その後フォーシーズンズホテルのある椿山荘(ちんざんそう)で二年半程働く事となる。
 「ここは本当に辛かったですね。その年の募集の中に入っていれば、同僚も沢山居たのでしょうが、途中から入ったので、六十名の板前の中で一番下でした。大卒の料理見習いと言うのも周りから見ると気に入らなかった様で、結構嫌な思いもしましたね」と言って笑う。
 その後、平成元年に帯広へと戻り、今現在に至る。
 責任者としてどうあるべきかの質問に「私の場合、厨房での仕事は勿論の事、各支店を廻ったり、掃除や洗い物の果て迄何でもやります。私が子どもの頃から働いている職人も居ますし、まず自分自身が率先して動く事です」
 間もなく昼時と言う事もあってか店内の方も段々と賑わって来た。「いらっしゃいませ」と笑顔で挨拶をする矢野氏。「あのお客様も古くからお付き合いして頂いてる方なんですよ。私が生まれるずっと前からね」
 矢野氏はフランス語の「ヌーベル」と言う言葉が好きだと言う。古きものからの脱却と言う意味の他に、温故知新的な意味合いも含んでいるそうである。店の歴史である暖簾を守り、更に新しい事も取り入れて行く。まさに矢野氏の為にある様な言葉だと思った。