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KONなん どうでshow!

「Q-jin君」で新たにコラム連載がはじまりました。 日常にひそむオモシロイことや小さな疑問、切ない想い出…。 小企画ながら侮るべからず!読者に大人気のコラム連載です。


第88話 「タクシー」

 会社での飲み会終了後、タクシーで帰ることにした。沢山並んでいるタクシーの中から適当に車を選び、乗り込んだ。家までの道のりを説明しようとしたら、ドライバーの顔に見覚えがあった。その時だった。
「久し振り。元気だった?」相手が先に話し掛けて来た「あれ?誰かと思ったら、ホント久し振りだね。何とか元気にやってるよ。そっちは?」僕が言った。
ドライバーの彼とは高校の頃の同級生で、卒業後彼は建設会社に就職した。その後も何度か会ったが、ここ暫くは会っていなかった。
「前の会社が潰れる前だったから、五年振りくらいかな?会うの」彼が言った。
「そっか、もうそんなになるんだ」
「前に住んでた所と同じ?」
「うん、そうだよ」
車は僕の自宅目指して走り出した。
今日はかなり飲んだせいか、激しい睡魔が襲って来た。彼は会社が倒産してからのことを色々と話して来たが、ハッキリ言って僕には上の空だった。何とか相槌は打つものの、話しよりも眠気の方が強く、殆ど夢見心地で彼の話しを聞いていた。
今思えば久し振りに会ったのだから、もっと話せば良かったと思う。
そうこうして居る内に家に着いた。どこか懐かしい風景だったが、一瞬にして目が覚めた。
「あれ?言ってなかったっけ?引っ越ししたの」

第89話 「アーム筆入」

 ネットを見ていたら『象が踏んでも壊れない』というキャッチコーピーの筆入が今でもある事に気付いた。たくさんの筆入を並べた上を象が歩くといったCMが昔放送されて大ヒットした。この筆入にはちょっとした思い出がある。
クラスで一番早くこの筆入を買った友達が居た。
「おっ!すげえ、アーム筆入だ!」隣りの席の友達が言った。筆入の周りには一瞬にして人だかりができた。一時間目が終わっての休み時間の事だった。
「俺が乗っても大丈夫か?」
クラスで一番体重の重い子が言った。
「象が乗っても大丈夫なんだぞ。お前が乗ったぐらいじゃ壊れないよ。いいよ。やってみ」そう言われ、恐る恐る筆入に乗ったが、CMの通り全く無傷だった。
「じゃ、ここから落としても大丈夫か?」友達の挑発に乗ってしまった彼は、二階にあるクラスの窓際に立った。皆が窓から顔を出して注目した。
「じゃ行くよ〜」全員がカウントダウンを始めた。
持ち主の手から離れた筆入は次の瞬間、校庭のコンクリートに激しく叩きつけられ木っ端微塵に吹き飛んだ。
 僕はそんな出来事を思い出しながらネットでアーム筆入を買うと、京都に住んでいる友達に送った。電話が掛って来て、懐かしいと言ってとても喜んでくれた。
何だか少し気持ちが晴れた気がした。友達を挑発たのは僕だったのだ。

第90話 「叔父6」

 叔父から電話が来た。
「焼き肉するから家に来い」
焼き肉と言ったら、夏の暖かい日に外で炭火をおこし、ビール片手に皆でわいわいやりながらするものと僕は思っていた。今は真冬である。でも相手は叔父。常識は一切通用しない。
叔父の家に行くと、庭に巨大なかまくらがあった。お隣りの老夫婦も呼ばれた様で、叔父さんの家族に僕も加わり、五人になったが、それでも中はゆったりとしていた。天井の低さだけが少し気になった。
叔父は、真っ赤になった炭が入っているバーベーキュー用のコンロをかまくらの中へいれると、中は汗ばむ程の暑さになった。肉や野菜を焼き始めると、物凄い煙がかまくら内に充満し、天井の雪が溶け出して水滴が落ち始めた。やがてその水滴はどしゃ降りの様になり、全員が左手に傘を持ち、右手で焼き肉を食べるといった異様な光景となった。
湿度は上がり、煙で目は痛い。叔父が空気穴を大きくすると言って、左手に持った傘を一旦閉じて天井に突き立てた瞬間「バサッ」という音と共に傘が開き、雪崩の様に天井が崩れて来た。
外はいつの間にか猛吹雪になっていて、息が詰まる程の冷たい風が、五人に容赦なく吹き付けた。
「雪山で遭難したらこんな感じなんだべな」強風で裏返り、イチョウの葉の様になった傘を左手に持ち、大声で笑いながら叔父は言った。