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KONなん どうでshow!
「Q-jin君」で新たにコラム連載がはじまりました。 日常にひそむオモシロイことや小さな疑問、切ない想い出…。 小企画ながら侮るべからず!読者に大人気のコラム連載です。
第100話 「最後の報酬 後編」〜読者の声より〜
母の容態は日を重ねるごとに悪化して行きました。
懸賞に応募を続け、三ケ月になろうかという頃、当選者の欄に同じ名字の人を見つけました。私が興奮気味に母に伝えると、母はニッコリ笑って頷きました。
この頃の母の病状は悪く、殆どが寝たきりで、時々昏睡状態にもなっていました。もう母の命も時間の問題でした。そんな中、商品券が届きました。たまたま母の体調も良かった日でした。
「あっ、やっぱり当選してたんだね。でもハガキ代を引くとチョンチョンじゃないの?」私がそう言うと、
「金額じゃないの。当たったっていう事が嬉しいんだよ。それにこれは報酬だよ。求人君を探したね」と言って、母は笑顔で商品券を枕元の机の上に置きました。
その後、私が母から目を離すと、娘の美智子が商品券の裏側に落書きをしてしまいました。
「ほら、ばばの顔書いたよ。ねえ、ここに、ばばのかおって書いて」
「あら、上手に書けたね。どれどれ」と言って母は商品券に字を書き込みました。
これが母の最後の元気な姿となりました。
その日の未明、母は帰らぬ人となりました。
母が亡くなって少しして、いつ母が入れたのか分りませんが、私のバッグの中から商品券が出てきました。
商品券の裏側には、美智子が書いた絵と母の字がありました。(みんな、ありがとう。幸せでした。ばばより)それは、力強く男っぽい字を書く母の字とは思えないほど細く、か弱い字でした。
それを見た瞬間、涙が一気に溢れ出しました。商品券を両手で胸に押さえつける様にして、私は大声を出して泣きました。
この商品券は一生使わずにおくつもりです。
今になって思うと、あの時に母が報酬という言葉を使ったのは、きっと働きたかったのだと思います。働く事が何より好きな人でしたから。
この商品券は一生使わずにおくつもりです。求人さんから母への最後の報酬です。
ありがとう。
第101話 「真夜中の訪問者1」
僕がまだ学生時代を札幌のボロ下宿で生活している時のことだった。
寝ていると、ベッドの足元にあるドアから一ヶ月前に交通事故で死んだ友達が入って来て、僕の目の前であぐらをかいて座った。
「最近さ、みんな俺のことを無視するんだ」と言って彼は怒っていた。
「そりゃそうだろ、お前死んだんだからさ」夢という意識はないのだが、何故か自然に話す事ができた。
「やっぱりか?なんかそんな気がしてたんだけど、どうしたら良いんだ?この先」
「さあな、俺も死んだ事ないから分んないけど、死んだら死んだで、どっか行く所があるんじゃないのか?」
「付き合ってくれないか?行き方分んないから」
「そりゃ無理。絶対無理。まだ俺死にたくないもん」
「俺だって死にたくて死んだ訳けじゃないぞ!」
「でも死んだんだから仕方ないだろ!死んでからも我がまま言ってんじゃねえよ」
「・・・ご免。そうだよな、みんな一人で生まれて一人で死んで行くもんなんだよな」寂しそうに友達は言った。変な夢だった。
食堂で朝食をとっていると、隣の部屋に住んでいる友達が話し掛けて来た。
「夕べ誰か来てたのか?」
「えっ?誰も来てないよ」
「嘘つけ、話し声が聞こえたぞ、よく聞こえなかったけど、死にたくて死んだ訳じゃないとか何とか」その瞬間、僕の全身に鳥肌が立ち、背中に寒気が走った。
「おばさんっぽい人の声も聞こえたな」
「おばさんの声?」僕が食事の片付けで立ち上がった瞬間、耳元で声がした。
「わたしだよ」聞き覚えのある声だったが、後ろを振り向くと誰も居ない。その目線をゆっくり下に移すと、髪の長い女性が僕のふくらはぎの辺りで両膝を抱え、うつむいた状態でしゃがんでいた。やがて女性の頭がゆっくりと動き、目が合った。それは三年前に亡くなった実家の近所に住んでいたおばさんだった。
第102話 「真夜中の訪問者2」
おばさんのお化けが出たと下宿中が大騒ぎになった。その日、食堂にいた数名が僕と一緒におばさんのお化けを目撃したからだった。
「なんでお前の実家の近所のおばさんがお化けになって出て来たんだ?」
「知るかよ、そんなこと」
「俺さ、お化けって見たことないんだ。今晩お前の部屋に泊まっても良いか?」
おばさんのお化けが出た時、そこに居なかった友達が言った。僕にとっては渡りに船といったところで、何ともあり難い言葉だった。
「仕方ないな。今晩だけだぞ」と心にも無い事を言って承諾した。
その他の下宿の住人は、一番広い八畳の部屋の持ち主の所で雑魚寝した。男十人が、一つの部屋で寝る姿を想像すると、お化けよりもずっとおぞましく思えた。その日、僕が寝就いて間もなくだった。
昨日の友達と同じ様に、僕が寝ている足元のドアからおばさんが入って来た。昨日は夢の中の出来事の様に感じたが、今日は違う。体が全く動かず、友達を起こそうとしたが、声が出ない。おばさんは僕が寝ているベッドと友達が寝ている布団の間をゆっくりと歩き、僕の顔の横に立った。
「ありがとうね。あんた子どもの頃から優しかったもんね。おばさん嬉しかったよ。ありがとうね」そう言うとおばさんの体全体が段々と透けて行き、最後には消えてしまった。何故おばさんが礼を言ったのか、その時は分らなかったが、後になって考えると、少し思い当たる事があった。
次の日、僕は地元に住む友達に電話をし、死んだ友達のお墓の隣りはどこのお墓か調べてもらった。すると、そのお墓は、おばさんのお墓だという事が分った。
友達が死んで初めての墓参りの時だった。隣りにあったお墓が、カラスの糞だらけで、草も伸び放題になっていて余りにも酷い状態だったので、余計な事だとは思ったが、僕が掃除をしたのだった。おばさんもよほど嬉しくてお礼がしたかったんだろう。今度行く時は友達の分と一緒に何かお供えを持って行こうと思う。
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