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KONなん どうでshow!

「Q-jin君」で新たにコラム連載がはじまりました。 日常にひそむオモシロイことや小さな疑問、切ない想い出…。 小企画ながら侮るべからず!読者に大人気のコラム連載です。


第103話 「2階の住人」

 格安物件が見つかったと言っていた友達Aから電話があり、その晩、僕とBは引越しして間もないAの家に遊びに行く事になった。そこの建物は三戸が入っている物件で、隣りはメゾネットタイプだった。友達が借りた所も元々はメゾネットだった様だが、何故か上と下が別々の賃貸で、室内にあった階段も取り外され、階段があった所の天井の壁紙の色だけが真新しかった。上の部屋に通じる玄関脇の階段も、にわか作りの様で、とてもちゃちな物だった。
「変な作りだよな。何で上と下で別々にしちゃったんだろ?」Bが言った。
その瞬間、二階で人の足音が聞こえた。わざとドンドン歩いてる様に思えた。
「うるさいな。何時もこんな感じなのか?」
「そう、毎晩なんだ」
「ちょっと行って注意して来るか?」Bが言った。
「行っても無駄だって。誰も住んでないんだから」
「・・・」暫し沈黙が流れるが、ガサガサという音で三人は飛び上がった。それは階段があった天井の壁紙が剥がれる音だった。
「いくら貼っても剥がれるんだ。そこの壁紙」
「とにかくお願いだから今日は、泊まっていってくれ」
僕ら二人は、懇願する彼の言う様にした。三人で壁紙をしっかりと貼り直して、僕らは居間で寝る事にした。
 夜中、ガサガサっという壁紙の剥がれる音で目が覚めた。体が動かない。でも頭だけ少し動いたので、Aの方を見ると、全身焼けただれた老人が腹ばいになり、Aの足首を掴んで、自分の方へと引っぱっているのが見えた。Aは声にならないうめき声を上げながら必死に抵抗している。僕も叫ぼうとしたが、声が出ない。
やがて何かが解けた様に急に大声が出た。老人は僕の方を見た。真っ黒に焦げた顔には目がなかった。老人は僕の顔を見ながら足元からゆっくりと消えて行った。
後になって聞いたが、Aの部屋の二階は、以前火事にあい、寝たきりのおじいさんが焼け死んだそうである。

第104話 「どっちもどっち」

 週刊求人のテレビ欄を見てAが言った。
「水戸黄門ってまだやってるんすね。一時、石坂浩二が黄門役をしてましたよね」
「今は里見浩太朗が黄門役だよ」とBが言った。
「里見浩太朗って、助さんか格さんの役をしてませんでしたっけ?」
「助さんだよ」
「Bさん詳しいっすね」
「俺は水戸黄門ファンだからな。毎週見てるし」
「じゃ、初代から役者の名前を全部言えます?」
「東野英二郎、西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗」Bが誇らし気に言う。
「凄いっすね。家の爺ちゃん見たいだ。何でその年で水戸黄門のファンなんすか」
「あれ見るとスッキリするんだよ。最後に白黒がハッキリするだろう」
「でもワンパターンじゃないっすか、印籠を出す時間も決まってるし、予想がついちゃうんで、ハラハラ感が無いじゃないっすか」
「あるよ。御老公が鉄砲で狙われて危ないって時・・」
「弥七が出て来て風車投げるんすよね」と突っ込むA。
「そうそう。充分ハラハラするだろう」
「ワンパターンじゃないっすか。先の見えてるストーリーになぜハラハラしなきゃならないんすか?」
「でも弥七が出て来てどうのって言ってたけど、お前も見てるんじゃないか」
「子どもの頃に爺ちゃんとよく一緒に見てましたからね。その頃の記憶っすよ」
「よく見てたって事は嫌いじゃ無いんだよな」
「そっ、そっすね。嫌いじゃないと思います」
「ほ〜ら、本当はお前、隠れ黄門ファンなんだよ」
「いや、絶対ファンじゃないっすよ。超ワンパターンっすし、面白くはないっす」
「お前こそワンパターンだろ!今日の昼の出前ってラーメンだったよな。昨日もその前も、ここ一ヶ月ラーメンばっか食ってるだろ」
大好きな番組をけなされてBが怒った。
「確かに。でも正確には二ヶ月半っすね」

第105話 「小鉄」

 女子社員Aの元気がない。どうしたのか聞いてみた。
「うちの小鉄が居なくなったんです」
「小鉄?」
「猫なんですけど、もう十年以上飼ってるんです」
「へ〜っ、それじゃ家族同然だね。それで最近元気がないんだ。猫って結構放し飼いにしてる人が多いみたいだけど、小鉄は外へは出してなかったの?」
「外に出すと、ご近所の迷惑になっちゃうんで、殆ど出す事はないです」
「近所迷惑ったって、犬なら噛み付く事もあるかも知れないけど、猫は大丈夫なんじゃないの?」
「でも、よその家の花壇とかに糞をしたり、車の上に上ったりするんで、犬よりたちが悪いかも」
「そうそう、花壇って言えば最近家の花壇にも野良猫が来て、おしっこやウンチをして行くんだ。ホント迷惑だよなあれ」
「そういう時は木作酢が良いって聞きましたよ」
「木作酢か、早速試してみるよ。それにしても心配だね。ちゃんと帰って来ると良いけどな」
「もしどこかで見掛けたら教えて下さい。茶トラで、かなりメタボです。小鉄って呼んだら、返事しますから。それに凄く人懐っこい子なんで側に寄って来ると思います」
 次の日の晩、僕が食後にビールを飲みながら外で涼んでいると、隣りの家の赤外線付きのライトがパッと点灯した。でも誰も居ない。怪奇現象か?と一瞬思ったが、良く見ると、大きな野良猫が、僕の家の花壇の方へと歩いて来るのが見えた。花壇にいつもウンチをして行く猫だ。野良猫なのに、僕の姿を見ても平然として花壇の土を引っ掻いている。体も大きい上に、態度もふてぶてしい。茶トラだった。
まさかとは思ったが、僕は猫に声を掛けた。
「小鉄?」
「ニヤ〜ン」
「うっそ!小鉄?」
「ニヤ〜ン」
「小鉄かお前!」
「ニャ〜ゴ〜」