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KONなん どうでshow!
「Q-jin君」で新たにコラム連載がはじまりました。 日常にひそむオモシロイことや小さな疑問、切ない想い出…。 小企画ながら侮るべからず!読者に大人気のコラム連載です。
第106話 「叔父VSマーちゃん」前編
いつもの様に叔父から電話が掛って来た。根室沖に船釣りへ行かないかとの事だったが、その日はちょうどマーちゃんを預る約束を友達としていた。その事を叔父に伝えると、一緒に連れてこれば良いと言った。マーちゃんの父親である友達に連絡すると、釣りへは連れて行った事がないので是非頼むと言われた。こうして叔父とマーちゃんの初対面の日がやって来た。
朝が早い為、マーちゃんは前日の夜から僕の家に泊まっていた。叔父は午前二時過ぎに車でやって来た。
「今日、一日お世話になります。宜しくお願いします」
玄関先でマーちゃんは元気にこう言うと、深々とお辞儀をした。
「ほう、随分と礼儀正しい子だな。気持ちが良いもんだ。こっちこそ宜しくな」
と言って叔父は右手を出してマーちゃんと握手した。
「着いたら起すから、後ろの席で寝てろ。ほら、ちゃんと毛布持って来たからよ」
叔父が後ろのドアを開けながら言った。
「お言葉に甘えてそうさせて頂きます」と言ってマーちゃんは後ろの席に乗った。
「車酔いはしないか?」
「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
車が走り出すと、やがてマーちゃんは眠りについた様だった。
「おい、どっか良い所の坊ちゃんなのか?何年生だ?」
助手席に座っている僕に叔父が聞いた。
「いや、普通の家庭の子だよ。五年生になったのかな」
「じゃ、よっぽど親御さんの躾が良いのか?」
「別にそんな事はないよ。父子家庭だけど、特別厳しい訳でもないよ」
「じゃ、なんでだ?お気遣いありがとうございますなんて言うか?普通。五年生だぞ。俺だってそんな言葉使った事ないぞ」
港には朝の六時近くに到着した。僕らを含め二十人程度の釣り客が乗船した。間もなく船は出航し、北方領土近くの漁場に到着した。今時の子どもは、虫が苦手と聞いたが、マーちゃんは全く平気で、イソメを素手で捕まえ、僕が教える通りに針に付けた。
つづく
第107話 「叔父VSマーちゃん」中編
直ぐにマーちゃんの竿に当たりがあった。型の良いカレイが二匹上がった。
「凄い凄い。こんなに釣れました!」大喜びでマーちゃんが叫んだ。
「おお、坊主釣れたか。凄いな」叔父が笑って言った。魚を針から外し、クーラーボックスへ入れ、次の餌を付けて、また釣りを始める。見てると結構手際が良い。
今度は僕の竿に当たりがあり、二匹が上がった。僕が魚を外していると、今度はマーちゃんだった。
「おお、凄いな三匹だ」僕とマーちゃんは二人で大はしゃぎした。僕らの竿は休む事無く、次々にカレイを吊り上げて行った。
暫くしてマーちゃんが僕に言った。
「おじさん。僕、楽しいんですけど、とても気分が悪いんです」顔面蒼白になっっていた。どうやら船酔いの様だ。僕はマーちゃんを船尾に連れて行くと、マーちゃんは船から少し身を乗り出しながら吐いた。
「何だ坊主、撒餌か?吐くだけ吐いて、落ち着いたら、これ飲め」叔父が酔い止めの薬をくれた。
「ありがとうございます」
元気の無い声でマーちゃんが言った。
「何匹釣った?」叔父がマーちゃんに聞いた。
「三十三匹です」
「そりゃ凄いな。よし、俺と勝負するべ。俺は二十八匹だから、早くしないと追い抜くぞ」
「はい、分りました。僕も負けません」そう言うとマーちゃんは薬を飲んだ。
暫くすると、マーちゃんの容態もすっかり良くなった様で、僕の隣りの席に戻ると、また釣りを始めた。
「おじさんは何処に行ったんですか?」マーちゃんが僕に聞いた。
「場所を移動するとか言ってたけど、居ないか?その辺に」
僕は、マーちゃんに釣りをしてるように言い、叔父を探しに船尾へ行くと、さっきのマーちゃんと同じ様にゲーゲーと吐いていた。いつもの事だった。
「今こいつを飲んだから治るはずだ」ポケットから小さなウイスキーの瓶を取り出してそう言った。
つづく
第108話 「叔父VSマーちゃん」後編
叔父の船酔いは毎度の事で、何故かウイスキーをストレートで飲むと治る。
「坊主はどうした?」
「もう治ったんじゃないかな、釣りしてるよ」
「内緒にしとけよ、格好悪いからな」
僕がマーちゃんの横の席に戻ると、マーちゃんは魚と格闘中だった。
「叔父さん後ろの方で釣ってたよ」僕が言った。
「・・・そうですか」
その時、叔父がやって来た。「坊主、調子良さそうだな」「何匹釣った?」
「四十匹です」
「それやまだ逆転のチャンスがあるな」と言って叔父は釣りを始めた。
最終的に僕が八十匹、叔父が五十八匹、マーちゃんが五十三匹の釣果に終わった。
「いや〜危なかったな。もう少しで坊主に負けるとこだった」
「こんなに釣れたのは、まぐれだと思います。まだまだおじさんにはかないませんよ」
「そうだな、年季がちがうもんな」と豪快に笑う。
だが、この勝敗にはちょっとした理由があった。
他の釣り客が僕に教えてくれたのだが、僕が叔父の所へ行ってる時に、マーちゃんが自分の釣った魚を、叔父のクラーボックスに入れていたそうだ。何故そんな事をするのか聞いたら、自分が勝ってしまったら、叔父の顔が立たなくなると言ったそうである。
そんな事とは知らず、大喜びする叔父。マーちゃんの方が一枚も二枚も上手だった。上機嫌の叔父が言った。
「おっ、こりゃ小さいからチンチロリンの餌だな」
「何ですかチンコロリンって?」とマーちゃん。
「チンコロリンじゃなくてチンチロリンだ。うちの犬の名前で、チンチロリンをしてる時に生まれたからチンチロリンってんだ」
「何ですか?チンチロリンって」
「うん?お前知らないの?チンチロリンってのはな、どんぶりに・・・・」
「叔父さん!変な事教えない!」と僕が怒る。
「あ、はい。大人になったらお前も分るよ」どっちが大人なんだか。
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